ABOUT

「死にゆく人と共にあること」プロジェクト

—伝統的知恵と医療を統合した新たなスピリチュアル・ケアの創造に向けて

趣旨

世界に類例を見ない高齢化の道をたどりつつある日本は、死についてどのように考えたらいいのか、死にゆく人とどのように寄り添えばよいのかについて文化の空白状態にあると言えます。そういう現状を踏まえ日本でも、死と向き合うためのサポートとして欧米で盛んになってきたスピリチュアル・ケアへの関心が医療、看護、福祉などの領域で高まっています。

しかし、キリスト教の伝統に基づくスピリチュアル・ケアが盛んな欧米と異なり、日本ではそうした死の臨床現場において仏教などの伝統的な智慧が十分に活かされているとはいえない現状があります。そこで私たちは米国において仏教瞑想を死にいくプロセスのケアに応用し大きな成功を収めているUPAYA Zen Centerの「Being with Dying (死にゆくプロセスとともに生きる)」プログラムを日本に紹介し日本の風土に根ざした伝統的な智慧を死の臨床に活用するための一つのあり方として提示することで、日本なりの「新たなスピリチュアル・ケア」を創造していくためのきっかけの一つとしていきたいと考えました。

具体的には、2015年4月にUPAYAのジョアン・ハリファックス老師とその協同研究者であるトニー・バック教授(ワシントン大学医学部)シンダ・ラシュトン教授(ジョン・ホプキンス大学看護学部)を招聘し、対人援助者のバーンアウト防止のためにBeing with Dyingプログラムのエッセンスを凝縮して構築されたGRACEプログラムを日本で行う予定です。

今回のシンポジウムはこの招聘プロジェクトに関わる関係者が、日本の医療現場におけるスピリチュアル・ケアの現状について議論を交わすことで、UPAYAのプログラムを日本に紹介する意義や新たなスピリチュアル・ケアの必要性を探っていくことを目的にしています。

プロジェクト発起人

関西大学人間健康学部教授。学部長。1963年大阪生まれ。東京大学文学部卒業(宗教学宗教史学科)、カリフォルニア統合学研究所(California Institute of Integral Studies)でEast-West Psychology 修士課程、Integral Studies 博士課程修了。論文に「一隅を照らす光を集める;オウム事件以後の一人称の「からだ」の探求に人間性心理学はどう貢献できるか」(人間性心理学研究) 「経験を記述するための言語と論理ー身体論からみた質的研究」(看護研究:医学書院) 日本トランスパーソナル心理学/精神医学会元会長、日本ソマティック心理学協会副会長。日本GRACE研究会事務局長。 <身(み)>の医療研究会事務局長。NPO法人タッチケア支援センター特別顧問

参考資料